ウルトラセブン:第12話 遊星より愛をこめて(写真をクリック拡大)
このページ左上:安藤達己オリジナルソングの下に何と!8曲、YOU TUBE にアップロード。エキゾチックでトロピカルな映像と音楽を楽しんで下さい。
ファンならご存知のように、このエピソードは欠番になっている。初回、放映された時には何の問題も起きなかった。当たり前と言えば、当たり前だがテレビ放映にあたってはテレビコードがある。この作品にはコードに触れるようなセリフも映像もない。昭和45年に発刊された少年雑誌が、”スペル星人”を外見から”ひばくせいじん”と表現し、原爆の後遺症に苦しんでいる人の怒りをかったのが、欠番にせざるを得なかった原因のようだ。だが、この作品に異議を唱えた人達は、本編を視聴した上で放映禁止を要求したのだろうか?(話の展開上、スペル星人のデザインは原爆症を連想させるものになったが、少しひねって考えれば、全く違った形があったかも知れない?)脚本は佐々木守。監督、実相寺昭雄。定評あるコンビの作品だっただけに”いわれなき”欠番が残念で仕方が無い!本来、評価は視聴者が決めるべきもので、その権利を奪ってしまった”欠番”には怒りが込み上げてくる。今は、故人となってしまったご両人に、心よりの哀悼を捧げる。
物語は宇宙空間で星が爆発するところから始まった。ホーク2号でパトロールに出ていたダン、アマギは放射能の変化に気付いていたが、隊長以下、特に気に掛ける者はいなかった。それ以後、健康な若い女性が突然倒れ、症状は極度の白血球減少によるもので”原爆症”に似ていた。しかも、被害者は全員、地球上にない金属で出来た腕時計をはめ、中から白血球を凝縮した結晶が見付かった。その頃、休暇中のアンヌ隊員は高校時代の友人、”さなえ”の家を訪ね、腕に恋人からプレゼントされた変わった腕時計が光っているのに気付いていた。(さなえ役はウルトラマンでフジ・アキコ役の桜井浩子。ファンに取っては、人気ヒロインの競演だったがー)
科学班から地球上に存在しないイベリュームから出来た腕時計で中から白血球の結晶が検出された、と言う報告を受けたウルトラ警備隊はこの謎について話し合っていた。そこへアンヌ隊員が戻り腕時計を見るや、”さなえ”も同じものをしていたと報告。(松竹ヌーベルバーグと呼ばれ、その旗手であった大島渚。ここへ所属していた佐々木守脚本のこのエピソード、同時に撮影されていた”狙われた街”よりも実相寺的作品に仕上がっていた。ロケではレフを使わず、自然光で。テレビ画面は小さいからアップかバストの撮影が主流だった流れに一線を画し、望遠レンズのロングが多く、それも殆ど”なめ”のショット。”さなえ”と恋人、佐竹のシーンにはクラシック調のBGMをかなりの音量でかぶせた。セット内では一転ワイドレンズを使って大きく”なめる”カットを多用、しかも人物はシルエットに近い。だから、普通に言う”アップ”は殆ど無い。こうして出来上がった作品は、もし欠番扱いでなく多くの人が見られたら、どう評価されたのだろう?)
さなえと佐竹(スペル星人)のデートに同席させて貰ったアンヌは腕時計をどこで手に入れたのか訊ねるが、曖昧な返事しか返ってなかった。そこに電話が入り、”さなえ”の弟が入院したとの連絡だった。病院に駆けつける三人。弟の腕にもあの腕時計が、作戦室に連絡を入れるアンヌ。応援に来たダンと合流。”さなえ”と佐竹が公園で散歩するのを見張っていた。
さりげなく腕時計を取り替える佐竹。”さなえ”と別れて、歩き出す佐竹を追うダンとアンヌ。佐竹は奇妙な建物の中に入り、仲間と集めてきた腕時計から血液の結晶を取り出し、自分達が地球人の血液で生き延びられることを確認していた。
その血液の中で一際、純度の高いものは”さなえ”の弟が一日使っていた腕時計からのものだった。より純度の高い子供の血液を集めようと新聞と共にチラシを配ったが、この陰謀に気付いたダンとフルハシは”奇妙な建物”の前で、集まって来た子供をくい止めようとしていた。その時、建物を突き破って姿を現すスペル星人。ダンからの連絡で飛び立つホーク1号。スペル星人の合図で現われる円盤。空中を飛ぶスペル星人。その目から強烈な光線がーーー煙を吐きながら不時着するホーク1号。ソガとアンヌが”さなえ”の家にポインターで乗り付けると、弟は佐竹に連れられ奥多摩に向っていた。アンヌはホーク1号を修理中の隊長に連絡。”さなえ”を乗せると奥多摩へ。林の中で佐竹と弟を見付けたソガは”さなえ”が止めるのを振り切って佐竹を銃撃。弟を助けたが佐竹はスペル星人の本性を現した。
愕然とする”さなえ”。修理を終えて飛び立ったホーク1号はダンが操縦するホーク3号と合流。1号は円盤と交戦。3号はスペル星人を攻撃するが強烈な光線を受けて飛行不能に。墜落して行く3号の機内で、ウルトラセブンに変身するとスペル星人と対決。夕日の中でアイスラッガーを一閃。真っ赤な太陽を背景にスペル星人は真っ二つに切り裂かれた。(セブン対スペル星人の対決は夕日をバックにストップモーションを多用。メトロン星人との決闘を連想させた。このエピソードは”狙われた街”と、同時クランクインで予算の問題があったにせよ、戦い方を変える方法がなかったのだろうか?)
エピローグも夕日と印象的な音楽を使い腕時計を棄てた”さなえ”が、これは悪夢じゃなく現実で、いつか宇宙人も他の星の人も信じ合える日が来る。と呟く。ダンは”そんな日は遠くない。だってM78星雲の人間である僕がこうして君達と共に戦っているじゃないか”と夕日に語りかけて終る。(タイトルは”遊星より愛をこめて”、だったが、どうして、こんなタイトルにしたのだろう?勿論、大ヒットした007”ロシアより愛をこめて”の影響も有ったに違いないが、当時はまだ列強の間で核武装競争があり、それぞれに臨界実験を行っていた。愚かな軍拡競争の末に”スペル星”の様に生き物が住めない地球にしてはいけないと言う”反面教師的な遊星より”のメッセージだったのだろうか?)
(映像の著作権は円谷プロに所属します。)