ファイヤーマン:よみがえった岩石怪獣(写真をクリック⇒拡大)
風光明媚な山岳地帯も観光客を呼び込むために岩肌は削られ、新しい舗装道路が開通して、ゆるやかな丘は別荘地に姿を変え始めていた。切り立った斜面には、コンクリートに変わり土砂崩れを防ぐ新材料・ポリダーを撒布、より大規模な工事が短期間で可能となった。その頃、現場近くにある美しい湖を撮影に来ていたカメラマンのテントは、何と!湖から逆流してきた水に押し流された。
地質調査に来ていた学生も岩が崩れて振動している現象を知り、新しい火口かと興奮しながらテントをはっていると、カメラマンが駆けつけ、水が逆流した不思議な現象を夢中で伝えたが、悪い冗談だと相手にもされなかった。
その夜、湖の水は逆流し始め、寝込んでいた学生達を崖上に押し流し、四人の命を奪った。
昭和49年:第一次オイルショックが日本経済に大打撃を与えるまで、列島改造論に後押しされて、山を縫うようにスーパー林道が走り、原野が造成され別荘ブームが巻き起こった。農家でも急激に機械化が進み、農具が運びやすいように舗装はアゼ道にまで及んだ。更に農薬の過剰使用が米作地帯から小さな生き物を追い出し始めた時期でもあった。そんな時に放映されたこのエピソードには、自然を破壊してまで豊かさを求める、当時の風潮に"一石を投じるメッセイジ"が込められていた。
水の変性を知ったSAFは、再び岬と水島をマリン号で現場に派遣。千葉はポリダーの流入で湖が超流動性を持った水になっていることを知らされ、中和剤を科学者に依頼。完成するや、湖の水を普通の水に帰すためマリンゴンで現地に向かった。
湖では、逆流した水に追われて逃げるカメラマン。これを目撃し、助けながらマリン号に逃げ込む水島。真相を確かめよと湖に向かう岬。突然、岩が崩れ落ち、目を醒ました怪獣・スコラドンが姿を現した。危険を察知したマリン号は直ちに離陸。怪獣にミサイルを撃ち込むが、効果はない!マリンゴンで中和剤を撒きに来た千葉も攻撃するが、怪獣はひるまない。岩に打たれて気を失っていた岬が我に戻ると、正にマリンゴンが怪獣に体当たりを敢行しようと、突っ込んで来るところだった。
すかさずファイヤーマンに変身!スコラドンをタックルで倒してマリンゴンとの衝突を回避した。怒り狂った怪獣は火を吐き出しながら攻撃。地上を転げ回りながら火柱を避けるファイヤーマン。かろうじて後ろに回って首を締め上げる。苦しみながら火を噴くスコラドン。隙をついて背中に跨り、鎧のような首に岩を突き立てて攻め続けるファイヤーマン!堪えきれずに、のた打ち回る怪獣をまるで暴れ牛を乗りこなすカウボウイのように操り、ひるんだところで、尾っぽを掴み、ハンマー投げのようにスコラドンを振り回して放り投げ、湖から這い上がってくるところを”ファイヤーフラッシュ”で仕留めた。
安藤達己的内緒話:カメラマン役で客演してくれた有馬昌彦氏(文学座)。私が映画界に入るかどうか迷っていた頃、国際俳優、早川雪洲宅に良くお邪魔していたが、雪洲氏の長女、よし子さんも文学座の研究生だった。このよし子さんと有馬氏が三島由紀夫夫妻の媒酌で結婚。その後、離婚してしまったが、私はいつか有馬氏に出演を依頼しようと考えていた。勿論、向こうは何も知りませんよ(苦笑)。レギュラー陣も、このエピソードでは水島(岸田森)と岬(誠直也)が主役で、劇団育ちのカメラマンと水島の絡みは、双方芸達者で撮っていて楽しかった。
岸田森は誠直也の九州訛りを直そうと、普段からアドバイスしていた。そんな二人だったからセリフのやり取りも師匠と弟子のような暖かさがあり、新人・誠直也がこの作品で一皮むけたように感じられた。
湖は西湖で撮影し、ナイトシーンがあったので、近くの国民宿舎に一泊したが、フトンは湿っぽく、寒さで良く眠れなかった。次の日の撮影では、頭痛と吐き気で立っていることすら出来ず、岩にもたれながらの撮影となった。富士五湖の冬は本当にうんざり!ーーー何かと思い出の多い作品でした(苦笑)。