ダヴァオ紀行:その36 稲作地帯(写真をクリック⇒拡大)
ダヴァオに米作りをしている日本人がいる。今年の前半、原油価格が暴騰。地球温暖化を防ぐためにもと、米国を中心にバイオ燃料の増産に踏み切った。これに歩調を合わせて世界中の穀物が値を上げ、米を輸入に頼るフィリッピンでは主食の値上がりが庶民の生活を直撃した。こんな時期に稲作に励む日本人がいるならば、”是非、田んぼを見てみたい”と頼み込んでみると、快く承諾してくれたが、田んぼはダウンタウンから100キロも離れたマタナオにあると言う。私の方は、一向に構わない!早速、連れて行って貰う事になった。免許取り立ての奥さんが運転する4WDでホテルを出発、車は南に向かって走り始めた。1時間も走ると見覚えのあるサンミゲールビールの工場が見え、今年の5月に日本領事と訪問したサンタクルスを通過している。ここから更に1時間メインストリートを走ったあたりで車は右折、それと同時に舗装道路は終わりを告げた。
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金物屋の前で止まり、セメントと工具を積み込み、未舗装のゆるやかな上り坂を進むと、道幅は狭まり、デコボコもひどくなってきた。奥さんは免許取立てとは思えないほどの落ち着きで、巧みにギアーを変え、アクセルを操作しながら悪路をゆっくりと進んで行く。今度は、これにアップダウンが加わった!ぬかるんだ道路にはサッカーボール大の石が不規則に敷いてあり、車は石の上をスリップしながらあえいでいる。まるでサファリのようだ。やっと平地にたどり着くとサトウキビ畑が広がり、今が収穫の真っ最中。その先には、田植えを終えたばかりの水田が延々と続いていた。ここは熱帯地方だから、いつ田植えをしても4ケ月で収穫出来るそうだが、田に水を引く都合で近所の農家は一斉に田植えをする。
農道の脇で車を止めると長靴に履き替えてアゼ道を進む。近くの田んぼではどちらを向いても、腰をかがめて一家総出の田植え風景。機械を使わず、水牛が耕し人が苗を植える。日本では見られなくなった懐かしい光景が眼前に広がっている。ツタの様に伸びた雑草に足を取られながら300メートルも行くと、この一家が所有する3ヘクタール(約3町歩)の田んぼがあった。田植えから一週間経っているそうだが、まだ稲の力強さは感じられない。アゼのところどころには土が盛られ若いマンゴーの木が植わっている。これも近い将来、果実が実れば立派な換金植物だ!日本でも一昔前までは、アゼにタノクロ豆(大豆の一種)が植わっていて手前ミソ(?)の原料になっていた。どこの国でも農地を無駄にしない工夫は共通している。田んぼの広さといい、二期作の米作りといい、ここの主、てっきり日本で農業を営んでいたのかと思っていたら、定年まで公務員だったと言うからこれも驚きだった!”今は米の収穫が楽しみでしょうがない”とかーー自分の住まいから3時間も離れているのに、月に3回も通ってくると言うから恐れ入る。思い切って収益を聞いてみると3ヘクタールの二期作で、田の管理を13人家族(子供が11人ですぞ!)の一家にまかせて、年60万円もあるそうだ。今後、6ヘクタールの農地が欲しいそうだが、定年後の趣味でこんなに稼げれば、楽しくて、楽しくてしょうがないだろうなぁ(笑い)。
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田んぼの中に柱を立て自分で電気を引いた作業場なのか、これが普通の農家なのか平屋建ての家には犬・猫は勿論、ニワトリ・ヤギ・ブタまで居たが、ニワトリは勝手に(?)繁殖していて現在50羽以上いるようだが、正確な数はここの主でさえ知らない(笑い)。昼も近くなり、私が来るからと、このビサヤチキンをつぶしてスープが出来ていた。これをいただいて、3時間かかる帰路に着いたが、私に取っては淡い緑に染まった広大な水田風景こそ、かけがえの無いご馳走だった!
”新築祝い”ダヴァオ編:A氏の場合:定年後に遅まきながら国際結婚。ダヴァオを”終の棲家”と決めて一年。30坪のささやかな我が家が完成。お披露目の運びとなった。親類や近所の人達がお祝いに来るからと、妻は大張り切りで準備を始めた。妻の両親も姉妹も3日前から泊まり込みで手伝っている。午後4時・少しは涼しくなった頃、玄関の戸を開け放し、門までの空間に大きなテーブルを置き、その中央には40キロもあるブタの丸焼きが存在感を誇示していた。紙のとり皿とコップがテーブルの隅に積み上がり、料理が並べられると、豪華と言うかーー誰がこんなに食べるのかと、信じられない位の量だ!
門の外には近所の人が集まり、中を覗き込んでいた。妻が門を開け、招き入れると、テーブルの周りは、みるみる人で埋め尽くされ、食べ終わった人は帰り、又、新しい人が加わる。こんな光景をビールを飲みながら眺めていたが、人の減る気配は一向に無い。夜も8時をまわった頃、あれだけあった料理もほとんど無くなっていた。そうなると、いつしか人影が薄れ、新築祝いの幕は閉じた。一体、どれだけの人数がどこから集まってきたのだろう?ダヴァオではこんな新築祝いが普通なのだろうか?ふと妻の方に目をやると満足げに微笑みながら家族と談笑中だった。