ウルトラセブン:蘇る”あなたはだぁれ?”(写真をクリック⇒拡大)
この作品で監督デビューとなった。それまで特撮と無縁だった私が、ひょんなことから円谷プロで働くことになり、ウルトラセブンも終わりに近づいた頃、第一回監督作品の話が持ち上がった。脚本は、若手の有望株・上原正三で、当時、雨後の竹の子のように建設されたマンモス団地を侵略者フック星人が夜の間だけ占拠。昼間は普通の団地だが真夜中になると地下に建設された侵略者の団地と入れ替わり、地球侵略を狙って活動を始めると言う話だった。団地の持つ均一で無機質なよそよそしさと近所付き合いが殆ど無い人間関係を、どう侵略者と結び付ければ良いのか?単に、正義の味方ウルトラセブン対地球侵略を狙うフック星人との勧善懲悪物語にはしたくなかった。
![]()
核家族化がどんどん進み、人間関係が希薄になって行く中で、ウサギ小屋と呼ばれても家族だけで住める団地が人気を集め、嫁・姑の確執など無縁な生活が始まっていた。でも、ある日突然、幸福だった筈の家族が分散したり、親友だと思い込んでいた友人が去って行ったらーーーー私たちは、そんな潜在的な恐怖の中で生きていたのではないだろうか?”この怖さを描けなかったらこの作品の意味は半減してしまう。”と私は思った。だから団地の持つ他人行儀で冷たいイメージを伝えるために映像は出来るだけモノトーンで、陰影を強く出した。登場する団地住人の役は、人間として生活しているシーンとフック星人が化けているシーンがあり、ちょっと複雑な二役をこなしてもらわなければならない。一見して、それと分かる、ありきたりの演技では困る。この辺が配役の難しいところだった。まずは円谷作品の常連?だった小林昭二さんが決まり、三条美紀、大山デブ子、銀座プロ以来の仲間、松本敏男と芝居上手な俳優さんが揃い、これは解決出来た。問題はロケ地のナイトシーンだった。フック星人は夜になると活動する侵略者だから、当然、団地の夜間撮影が多く、時間の制約・ゼネレイターの騒音問題と、苦労は耐えない。苦手の合成作業も無事に乗り越え、第一回監督作品は仕上がったーーー
初放映から40年:この作品をフィギャーを使った写真にあらすじを添えてネット上で再現したいと言うウルトラファンが現れた。だが”あなたはだぁれ?”が持つイメージを動画ではなく、写真で再現するのは容易じゃない。撮りたい写真に適したフック星人を手に入れ(これが一番の難題だったらしい)、思い通りの写真が撮たら、必要に応じて合成作業を行う。写真が全て完成するまでにBirdさんを始め何人の人達が協力したのだろうか?更に、安藤達己の人間像と今に迫りたいと、この人物は遠方から私に会いにやって来た。その時のインタビューを絡めながら、今、このサイトで(光の国から愛をこめて: http://ameblo.jp/ultra-taiga/)蘇った”あなたはだぁれ?”がアップロードされている。
”光の国から愛をこめて”のサイトは突然、閉鎖されました。平成21年(2009年)7月 安藤達己
安藤達己的独り言:この作品の舞台になった多摩プラザ団地だけでなく、東京近郊の田んぼや山林が開発され、それこそ何も無い所に、忽然と団地や整地された分譲地が姿を現した。アパートに住む人が当たり前のように2年毎に権利金を取られるのに比べ、団地は家賃も安いし、権利金の問題もなかったので入居を希望する人が殺到、入居者は毎回、抽選で決められて宝くじのようだった。だから当時、団地の申し込みを代行してくれる業者さえあった。当選した人達?の入居が始ると、それまでガランとしていた空き地で、アカ抜けた若い奥さんはセリを摘み、ベランダには花が咲き、華やかで幸せそうな雰囲気が広がっていた。年の経過と共に多くの住人達は、団地住まいを卒業、マイホームを手に入れて去って行ったが、団地に住み続けている人達もいる。あれから40年、多くの団地は老朽化、住人は老齢化して、建て替えは進んでいるが、家賃が高くなって行き場を失う人も出てきた。団地にはもう、あの頃の華やいだ雰囲気はないーーーー
そうそう有名な3億円事件が起きたのもこの頃で(昭和43年)、白バイ・警官の服・発炎筒・とまるでドラマを見るような犯罪で、事件の起きた府中付近から遠くなかった映画会社は刑事さんの訪問を受けたっけーーー事件は結局、迷宮入り。それから間もなく(昭和45年)、まだ円谷プロで仕事をしている頃に三島由紀夫の自決があった。”あなたはだぁれ?”はこんな時代に放映された作品だった。
コメント
昨日はコメントを頂きありがとうございました!サーバーは良くなったり悪くなったりの繰り返しです。今日は状況が良いようです。市川さんのところでも後程似たような事を書くかもしれませんがインタビュー記事と今回の監督の記事を見て思ったのが「『あなたはだぁれ?』はコラージュで構成されたドラマである」という事でした。言われてみると団地にある公衆電話は確かにあんな感じでは立ってなく角の方だとか管理事務所などの施設の近くにある事が多く「辺鄙な所に立ってるなあ」と思ってましたし自分がこの「あなたはだぁれ?」で必ず怖かったと発言しているどんでん返しの壁を使って正体を現すシーンなど色んな不安要素がコラージュのように貼り付けていって1つのドラマになっているのですよね。セブンは1本の柱から話が進んでいくドラマが多いので団地も一種のコラージュであると言っている様な「あなたはだぁれ?」でしたね。フック星人は池谷氏が意図してなかった口と耳の連動デザインを高山氏が絶賛したという逸話や後年、森次氏がインタビューで「セブンで好きな作品は『第四惑星の悪夢』と『あなたはだぁれ?』です」とお答えになったのも監督のインタビュー記事とこちらの記事を読んで改めてわかる気がします。
投稿者: gun_gun_G | 2008年10月13日 19:13
遅ればせながらご挨拶に参りました。
自分が今回、監督の作品を再現するという大役を背負いながらも
なんとかその役目を果たせたのは
円谷の名声でも、セブンの力でもなく
また、自分の人徳などというものでもなく
ひとえに、安藤監督の送り出されてた作品群が
人々に刻み込んだ魂のおかげだと思っております。
監督の作品だからこそ力を貸すんだよと、そう言ってくれた人がどれだけ多かったことか。
だから自分はこれからも、安藤監督や
当事円谷で精魂込めた表現者の方々の
当事と今を伝える伝道者として
頑張っていきたいと思います。
これからもよろしくお願いします!
投稿者: 市川大河 | 2008年10月13日 23:02
監督、こんにちは。
な、なるほど~~
作品の裏にそういう時代背景があったのですね~~
マンモス団地とフック星人・・
発想もすごいけど
それを映像化した監督・スタッフの皆さんも凄いです!
それにしてもここ数十年の間に日本はものすごく変わったんですね~~
投稿者: ぶら坊 | 2008年10月13日 23:22
監督、こちらでは初めまして!
団地のムードって独特ですよね。私も新婚時代を調布の多摩川住宅から始めまして・・・(笑)
何も知らないで引越しをして、第4惑星かフック星人の団地に迷い込んだような既視感にとらわれたのをまざまざと憶えています。確か昭和42年建造だったような・・・
投稿者: Bird | 2008年10月14日 10:46
お久しぶりでございます、先月29日にネットに戻ってきました。事情あってご挨拶が遅れ申し訳ありません。今回、このフック星人の記事に再コメントいたしましたのは本日12日分の「ひいろお倶楽部@」の記事にて他のウルトラシリーズの団地にまつわるあるエピソードと「あなたはだぁれ?」を比較といいますか、団地に長く住んでたGの思うところを書かせて頂いたからでございます。お時間がありましたらご一読頂けると幸いに思います。記事編成を本日から変更してるため読み難いかもしれませんが御了承下さい。
投稿者: gun_gun_G | 2008年12月12日 18:16