ダヴァオ紀行:その17 イーストアジアン・カレッジ (写真をクリック⇒拡大)
運転手がドアーを開けて待っている。こんな経験のない私はドギマギしながら、ゆったりした後部座席に乗り込む。車が走り始めると、領事がこれから訪問するイーストアジアンカレッジについて簡単な説明をしてくれた。校舎の敷地はパナボ市の市会議員:ドロン氏が寄付をして学長に就任、校舎は福本氏を中心とした日本人が資金援助をして2年前に開校したとのことだ。ダヴァオのダウンタウンから40分ほど北に走るとパナボ市に入る。丁度、その境目あたりに、この学校はある。車を降りると、ドロン学長は不在とのことで、後をまかされているユージニア女史が学内を案内してくれた。
まずは音楽コースの生徒達が、オリジナルらしき、ロック調の曲を演奏し始めた。私には、このバンドの力量を測れる程、音楽の知識は無いが、かなり洗練されていることは間違いない。この学校はカレッジといっても、日本で言う専門学校のようなもので、2年の履修で卒業となり、現在、生徒数が200人。1学年、100人が4コースに分かれている。そうなると、1学年:1コースが20人位のこじんまりとしたクラス編成だ。今年10月、初めての卒業生40人を送り出し、その内17人が日本で働くことを志願して現在ビザを申請中とのことだった。
続いてダンスコースのレッスンを見せて貰った。私が見たのは、今風のモダンダンスだったが、フィリッピンには沢山の部族がいて、それぞれに独特の民族舞踊が継承されているそうです。そんなダンスもカリキュラムには組み込まれていて、この辺が海外に進出する決め手に、なるのではないかと思いました。この2コースが芸能分野になるわけですが、フィリッピンのバンドは東南アジアでの評判が高く、シンガポールを中心に活躍しているバンドも多数あると聞きます。日本でも、つい数年前までは、かなりのフィリッピン女性がエンタテイナー(歌手かダンサー)として日本に来ていましたが、送り出す側と受け入れる側、双方に問題になるプロダクションの介在等があり、彼女達の働く条件が悪いと国際的非難の対象となった。更に、国連から”売春援助国”のレッテルを貼られた経緯もあって、現在、フィリッピンからのエンタテイナーは、日本国内から締め出される状態となっています。しかし、あらゆる分野で国際化が進む中、しっかりとした技術を身に付け、日本に関する知識を持った芸能人が優良なプロダクションを介して、フィリッピンから入国することが出来れば、彼らの活躍出来る可能性は、かなりあるのではないかと思えます。
![]()
日本で最も不足している分野、看護とコンピューターのコースを最後に見学させて貰った。コンピューターに関して、フィリッピンで問題なのはインターネットへの接続が遅いこと、と指導者の不足です。まずこれを解決しないと、生徒の質を上げるのは難しい。日本では少子化がどんどん進み、日進月歩のデジタル産業は常に”優秀な若年労働力”が不足している。過日、横浜で合ったインド人も大手企業のプログラマーとして3年間、日本で働くと言う話をしてくれました。
看護師とヘルパーの不足も、既に深刻な問題になっています。厚生労働省は、”資格を持っている人は充分にいる。”と言うが、その人たちが現場に出たがらなければ、人手が足りなくなるのは病院や老人介護の提供施設です。フィリッピンをはじめ、アジアの多くの国々のように、若い人が溢れていても仕事のない国から、日本で働くための知識を身につけた、優秀な人材が日本に入って来れれば、日本とアジア・双方に計り知れない利益をもたらします。したがって、この学校では、有能な若年労働者を日本に送り出すため、日本語教育と共に日本の風俗・文化・社会を知って貰うことにも力を注いでいます。
イーストアジアンカレッジは、日比双方の未来を見据えて第一歩を踏み出しました。この試みが成功するまでに、超えなければならないハードルがまだまだあるのでしょうが、福本氏を中心に、日本側の受け入れ態勢を整えてくれることを期待したいものです。