ファイヤーマン:遊星ゴメロスの秘密
この作品で若槻文三氏は、得意の社会背景には触れず、若い男同士に芽生えた友情をドライなタッチで描いていた。問題があるとすれば、遊星ゴメロスのロケ地を何処にするかだった。イメージとしては植物がなく、ゴツゴツした岩山にするか、白一色の砂浜にするか、しかないのだがーーー地球上らしくない岩山なら、当時、日立に銅を精錬した後のスラグが捨てられた、草一本生えていない場所があった。ここもロケ地として魅力的だったが、同時に撮っていた”ジュラ紀へ落ちた少年”のロケ地を房総半島と決めていたので、勝浦に近いところにある砂山を見つけ、このシーンは砂だけの背景で撮影することに決めた。砂の白:宇宙服の白:白で統一された映像を考えるとこの方がスマートに見えるとゆう計算もあった。
地球に異変が起きている最中に、黄色いワーゲンから長髪の美青年、竹原の登場だ。当時、男優が、好んで使った小道具、タバコの変わりに、得たいの知れない物を口に放り込む。これを格好良く決めて貰わないと、この小道具が後になって生きてこない。いよいよ本番となって芝居が始まると、監督から見ても思わず”カッコいい”といいたくなる身のこなし方だった。これなら、洒落た映像、シャープなカット割と編集でドライにスマートに男の友情を描ききれるだろう。
颯爽とSAFに入って来た竹原は、岬と葉山があっけにとられる程、格好良く通り過ぎてゆく。作戦室で、再び出会った岬と竹原は互いに投げ飛ばし合い。間に入った水島の紹介で、笑い合った二人に、相手を認め合う機運が芽生えた。いよいよ遊星ゴメロスに乗り込まなければならなくなったその夜、竹原は故郷の思い出を話しながら、例のものを口に放り込み、これを岬に差し出す。岬はこれを口にした途端、何とも言えない、渋い表情となり、苦笑い、二人の間に”本当の友情”が通い合った。これを伏線に、いよいよマリンゴンに乗り込む竹原が再度、この得体の知れないものを岬にすすめるのだが、口に放り込もうとして止める。この一寸、コッケイなシーンで”さりげなく”映画だから伝えられる、二人の友情と別れを表現したかったのです。
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竹原はマリンゴンでゴメロスに向かい。岬は地球に残され、再会を信じていたのだが、ゴメロスでは思いがけぬ出来事が隊員を襲い、竹原は命を落とした。このシーン:衣装も背景も白一色にして、悲しさ、よりもモノトーンの美しさを強調。岬の悲しみと、怒りが増幅され、ファイヤーマンに変身。ゴメロスに寄生する南京虫のような怪獣と対決。これを倒して竹原の無念を晴らすと同時に、身動きがとれなかった、マリン号を救出。ファイヤーマンに、遊星を守る怪獣を倒されたゴメロスは自らの意思で地球を離れ、青い星、地球は再び平和を取り戻した。
夕景の海辺でケルンを積み、竹原の死を悼む岬。形見のロケットをそっと岬に手渡す水島。SAF隊員、全員が竹原に感謝を込めて、黙祷を捧げた。その時に、まるで竹原が天空から見下ろすかのように、陽光が雲間から、幾条もの光の筒となって降り注いでいた。
エピソード全体を通じてこのカットだけは、情感に訴える映像にしたかったのだがーーーーー
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