ウルトラセブン:あなたはだぁれ? その2
”あなたはだぁれ?”の決定稿が出来上がる。助監督の経験は十分といえ、いよいよ、初めて監督するとなると、妙にそわそわした気分だ。正直なところ、嬉しいのか、不安なのかはっきりしない。何度も、何度も台本を読み返す。地球を侵略しに来た宇宙人(フック星人)が団地を拠点に選ぶ。当時、東京周辺に続々と建てられたマンモス団地:そこに住むことが、若い家族にとって’憧れ’だった世相を思うと、確かに面白い発想だった。若いシナリオライター、上原氏の鋭い視点はさすがであった。
ウルトラセブンがフック星人を倒して、地球は救われ’めでたし!めでたし!’となるのだが、台本を読む程に、得体の知れない恐さがどこかに残る。フック星人が倒れても、私の中でこの話が終わっていない何かが引っかかる。クランクインは近づく、でも恐さが残る謎が解けない!---それだっ!答えはちゃんと台本に描いてあるじゃないか:ある日、自分の家族から、或いは恋人や親友から、昨日までと全く違う対応をされたら、された人はどう解釈すれば良いのだろう?
誰にだって起こりそうなことだよね!だから台本を読み終わった後に、終わらない恐さが残る:これに気がついた私は、初日の撮影スケジュールに従ってカット割を決めていった。どのカットを撮るときも、この話に潜む恐さを忘れないように演出して行こうと心に決めた。
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それにしてもナイトシーンが多い、それも、殆どが団地だ。団地の持つ無機質さ、の中で重要な役割を果たす電話を赤にし、更に映像効果を狙い透明なアクリルのカバーを付ける。段取りが整ったところでいよいよカメラを回す。勿論、自治会の了解を取った上で撮影するのだが、夜だからライトが要る。ライトを照らすには電気がいる。したがってジェネレイターを団地に持ち込む。これが発電を始めるとかなりな騒音を出す。最初の二時間位は、団地に住む人たちも興味深く見学しているが、夜も十時近くなると’病人がいるとか、子供が寝付けないとか勉強の邪魔だとか’色々なクレイムがつく。出来るだけ早く撮り終えますからと謝りながら、撮影を続ける。こうしてクランクアップすると、後は編集:アフレコ:ダビングを経て完成して行く。
あなたはだぁれ?を見てくれた皆さん!終わった後に奇妙な恐さが残ったでしょうか?もし、そんな印象を残せることが出来たとすれば:私は思わず・ほくそ笑む・ことが出来るのですがーーー
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写真は”あなたはだぁれ?”のDVDから転載しました。コピーライトは円谷プロに所属します)